02interview
“わたしたち”
20221021
本はさまざまな知識や知らない世界を教えてくれます。学生の読書活動をさらに推進するため、2002年度に始まった活動が読書運動プロジェクトです。学生は企画チームと朗読チームに分かれ、それぞれが異なるアプローチで「読書体験の共有」を軸に活動。企画チームは図書館職員と連携し、図書館を活用した企画を実施しています。今回は企画チームのメンバーに、具体的な活動内容や今後の展望についてお聞きしました。
図書館から読書の魅力を最大限に発信
企画チームは図書館を拠点として多種多様な企画を行っています。昨年11月にはフェリス女学院大学附属図書館の紹介動画を作成。コロナウイルスによってオープンキャンパスに来ることができない高校生やその保護者、オンライン授業で実際に足を運べない在学生を対象に、施設の活用方法やおすすめポイントを分かりやすく紹介しました。今年1月には新たに図書館に置いてほしい本を学生が選び、POPをつけて展示。思わず手に取ってしまうような言葉やデザインで、利用者に本の魅力を訴えかけました。今年11月の大学祭に向けては、これまでの活動や経験をもとに、在学生はもちろん、高校生やその保護者、地域の方々も楽しめるような図書館ツアーや展示企画を構想しています。
活動日には図書館職員を交えてミーティングを行うこともあり、学生の自由な発想と職員の知見が合わさることで、実現可能でありながらも独創的な企画が生み出されています。活動に取り組むメンバーは、その魅力を次のように語ります。
「読書運動プロジェクトは、読書好きなメンバーがただ本の情報や読書体験を発信するだけの活動ではありません。企画に取り組む際、どのようなアプローチをすれば学生に読書の魅力を伝えられるのか、図書館に親しみを持ってもらえるのか、多角的に考えます。それを形にしていくなかで、自身の企画力を試すことができる面白さがあるんです」
開けてみるまで中身は分からない。大人気企画Lucky Bag
読書運動プロジェクトが今年度の前期に行った企画がLucky Bagです。企画チームが決めたテーマを基に3冊を選び、福袋形式で貸し出すこの企画は、開封するまで中身が分からないという特徴が学生の好奇心をくすぐり大好評を得ました。2018年の企画開始以来多くの学生から人気を集め、現在も年に数回、長期休みの前に行っています。今年度は選書のテーマを伝えるPOPや、バッグの装飾まで学生がこだわって作成。単に自分の好きな本を選ぶだけではなく、ジャンルやページ数、装丁にまで思考を巡らせて、借りた人が興味を持って読むことができる本を選んでいます。さまざまな工夫によって、年々利用者に寄り添った形へ進化を遂げるLucky Bagの取り組み。メンバーはその感想を次のように語ります。
「選定した本が詰まったLucky Bagが貸し出されていく様子を見て、とても嬉しくなりました。開けてみるまでどんな本が入っているか分からないため、普段手に取らないような本にも触れていただくことができたと思います。新しい本との出会いの場を創出できたことに活動の意義を実感しました」
企画チームのメンバーがお互いのおすすめの本を知り、今まで読まなかったジャンルに挑戦することもあるそうです。学生に新たな本との出会いを提供するだけでなく、メンバー内でも刺激を与え合いながら、活動を発展させています。
読書体験を共有することで得られる新たな視点
読書運動プロジェクトの活動に一貫するテーマは、「読書体験の共有」です。読書を個人的な体験に留めておくのではなく、他者と共有することで新たな発見が得られます。
ある学生は、読書体験を共有することの意義をこのように語りました。
「読書は一人で楽しむものだという認識があると思います。しかし、読書体験を共有して他者の価値観に触れることで、読書の幅が広がるだけでなく、同じ本でも違った面が見えてきます。また、他者の目線を通すことで、かえって自分自身の読書の趣向を明確に認識できるという側面もあります」
そして他者との読書体験の共有に最適な場所が、読書運動プロジェクトの活動拠点でもある図書館です。学生たちが主体となって読書の面白さを伝えながら本と出会う機会を創出し、利用者からは貸出という形でフィードバックを得ます。このコミュニケーションによって双方向に読書体験が共有され、読書について考える契機が生み出されています。
また、数多くの蔵書や充実した設備を有する図書館は、フェリス女学院大学の魅力の一つでもあります。学内外にこの図書館の魅力を発信していきたいと、学生たちは意気込みを語ります。
コロナ禍を前向きに捉え、進化を続ける読書運動プロジェクト
今年度で活動開始から20周年を迎えた読書運動プロジェクト。昨今はコロナ禍で通学が難しい状況でしたが、オンラインミーティングや学生による小規模の読書会を開催するなど、学生と図書館職員が連携して活動を続けてきました。
「コロナ禍は活動を一新する良い機会になりました。過去の活動を基盤にしながらも、オンラインなどの新しい観点も取り入れ、今までになかった企画にも挑戦していきたいです」
逆境を好機と捉えて成長の糧とした読書運動プロジェクトのメンバー。ある学生は活動への熱意をこのように語ります。
「読書に興味はありながらも、あと一歩を踏み出すことができない人もいます。その背中を押すお手伝いをしたいです」
図書館を拠点に学生と本を繋ぐ架け橋を目指して、読書運動プロジェクトはこれからも読書体験の共有・発信を続けていきます。