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“おたより”

20220901

国際交流学部で学ぶ日本のいま⑤
日本人移民の歴史から、未来の社会を考える

ブエノスアイレスのラ・ボカ地区
20世紀初頭、ここは、多くの国の移民の出発点であった

国際交流学部では各自の特性や志向に合わせて選ぶことができる「国際協力」「文化交流」「人間環境」の3つのプログラム(注1)があります。今回の連載では人間環境プログラムで学ぶことができる現代社会の様々な問題について紹介します。

近年、日本在住外国人の数が大幅に増加しています。学校や住んでいる地区に、他国出身の友達や隣人がいることは、もはや珍しくないですね。しかし、日本では、「移民」について話すことが、まだ一般的ではありません。社会は現実を受け入れることに抵抗があるような気がします。それでも、世間の注目度を別として、移民の位置付けは、文化の共存や多様性がすすむ中で、より公平で平等な社会の構築を考えるために、ますます重要な課題となるでしょう。

現在の移民状況を考える上で、日本人自身の過去の経験は参考になるかもしれません。いまでは記憶が薄れていますが、明治時代の中期から1960年代まで、日本は海外に移民を送り出す国でした。アメリカ大陸では、カナダ、米国、メキシコ、ペルー、ボリビア、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイなどに、より良い生活と夢の実現を求めて、多くの日本人が住み着きました。

誰が? なぜ? 移住先でどのように受け入れられたの? 何をして生活していた? どんな困難に直面し克服しなければならなかった? 移民や移民の子孫たちは、いかにして定住した社会の文化構築に関わったのでしょうか?

「移住と文化の理論」という授業では、様々な事例を通して、これらの質問に答えていきたいと思います。主要な目的は日本人移民の歴史過程と移住先での文化変遷を理解することですが、結果的に、現在の移民状況、そして私たちが住んでいる社会、住みたい社会を考えるヒントが探れたら、さらに嬉しく思います。

国際交流学部国際交流学科教授 ヒガ,マルセーロ

(注1)2023年度より、3つのプログラムの名称が変更になり、より充実した内容となる予定です。「人間環境」プログラムは「SDGs・ライフデザイン」プログラムに変わります。

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