02interview

“わたしたち”

20220727

「多様性」にまつわる問題を自分ごととして考え、
より寛容な社会の実現を目指すHalo-Halo Clubの活動。

フェリス女学院大学には、教員がテーマを考えて呼びかけ、学生が所属学部・学科に関係なく活動に参加できる、フェリス・フレンドリーグループという制度があります。その一つとして2019年に発足したのが、フィリピン語で「混ざっている・混ぜる」という意味の言葉を冠したHalo-Halo Club。メンバーは「多様性」を切り口に、ジェンダーやLGBTQ、ミックスルーツといった幅広い問題への理解を深めるとともに、さまざまなイベントやSNSでの啓発活動に取り組んでいます。今回は、具体的な活動内容やメンバーの思いについて、より詳しくご紹介します。

「多様性」という観点で多種多様な企画に挑む

Halo-Halo Clubの活動は、ジェンダーやセクシュアリティをテーマにした映画の上映会や、学生同士で関心のある問題について話し合う「おしゃべり会」など、多岐にわたります。世界の様々な地域で「プライド月間」と呼ばれている6月には、LGBTQをはじめとした多様な人々の権利を考えるため、学内数か所にメッセージボードを設置。ステレオタイプにとらわれず「自分らしく」人生を歩もうとする学生や教員から、多くのコメントが寄せられました。さらに、2021年度にスタートしたのが、生理に関する正しい知識を発信し、向き合い方を考える「with 生理」プロジェクトです。活動の一環として、期間限定で学内に生理用品を設置したことが反響を呼び、現在は常設に向けて企業との連携を進めています。

現在、Halo-Halo Clubに所属しているのは、学部学科や学年の異なる10名の学生。高校時代からフェミニズムに関心を抱いていた人や、大学の講義で初めてジェンダーに興味を持った人など、参加した経緯はさまざまですが、全員が熱意を持って活動に取り組んでいます。「入学以前はこうした問題について話せる場がなく、グループに入ったことで率直な意見交換ができるようになりました。ジェンダーやフェミニズムを詳しく学ぶ中で、世の中を捉える目線の解像度が上がったと感じます」。参加する学生の言葉からは、活動に懸ける真剣な思いが伝わります。

学生主体の活動を通じて、一人一人が大きな成長を実感

活動日は週1回ですが、プロジェクトの状況によってメンバーが自主的に集まる場合も少なくありません。普段からメッセージツールで連絡を取り合い、こまめに進捗を確認するなど、学生主体で活動を進める仕組みを整えています。また、こうした取り組みは各学生の成長にもつながっているといいます。「企画会議などで自分と異なる意見や価値観に触れたことで、相手のバックグラウンドを想像しながら話す姿勢が身に付きました」「緊張しがちな性格でしたが、『with 生理』プロジェクトを通して、大学の学生課や総務課、さらには企業の方々との打ち合わせを経験。Halo-Halo Clubの役に立ちたい一心で、少しずつ苦手意識を克服していきました」。得られた知見の数々は、Halo-Halo Clubの取り組みを前進させるだけでなく、今後の人生を切り拓くための貴重な糧となることでしょう。

本学ならではの講義とHalo-Halo Clubの活動による相乗効果

フェリス女学院大学はジェンダーやフェミニズムに関する講義が充実しており、そういった問題に関心を持つ学生が数多く存在します。授業で得た学術的な知見を身近な出来事として捉え直すために、Halo-Halo Clubの活動が大切な役割を持っているとメンバーは語ります。「講義や自主学習はもちろん重要ですが、他者とのコミュニケーションがなければ思考が凝り固まってしまいます。私自身、Halo-Halo Clubの活動がさまざまな考えに触れる良いきっかけになりました。今後は啓発活動を通じて、より多くの人に問題を『自分ごと』として考えてほしいと思っています」。専門的な知識を伝える講義と、他者と共に問題を話し合うHalo-Halo Club。その両輪が、「多様性」への理解を深める重要なカギとなっているのです。

コミュニティの輪を広げ、より良い社会の実現へ

取材した2022年6月末、Halo-Halo Clubは参議院選挙への学生の投票を促す活動に取り組んでいました。身近な「もやもや」がどのように政治と繋がっているのかをまとめ、関連する図書館の蔵書を紹介するという展示には、これまで培ってきた「多様性」に関する視点が生きています。メンバー全員で力を合わせて企画を実行する一方で、一人一人が理想の社会像を明確に思い描いていることも、このグループの特徴です。「ゆくゆくは、Halo-Halo Clubのようなコミュニティを国会や企業にも設けてほしいと考えています。多様性について考え、話し合う場を増やすことが、思いやりのある社会の実現につながるのではないでしょうか」。思いを胸に日々活動に励む学生の背中を見て、担当教員である小ヶ谷千穂教授は感慨深く語ります。「多様性について話し合うことを目指して立ち上げたグループですが、メンバーの熱意によって、予想以上の発展を遂げました。お互いに刺激を与え合って成長する彼女たちを、心から誇りに思います」。

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