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“おたより”

20220721

国際交流学部で学ぶ日本のいま②
SDGsに向けた若者の参加プロセスをデザインする

首都ベルリンでのFridays for futureの様子(2019年撮影)

国際交流学部では各自の特性や志向に合わせて選ぶことができる「国際協力」「文化交流」「人間環境」の3つのプログラム(注1)があります。今回の連載では人間環境プログラムで学ぶことができる現代社会の様々な問題について紹介します。

SDGsが世界中で展開されるなか、若者の環境問題に対する行動が社会に影響を与える場面も増えています。スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんが始めた気候デモ「Fridays for future(未来のための金曜日)」のドイツでの大きな盛り上がりは、若者の環境行動の熱心さを印象づけました。

ドイツではデモに参加する人は日本の約2〜3倍に上ります。しかし高学歴層に偏っていると言われるように、教育格差が大きく、行動も国民のあいだで大きな差があるため、社会全体の結果に直結しづらいことも指摘されています。実際、一人あたりのエネルギー消費量やゴミ排出量はあまり変わらないか、日本の方が少ないのが現状です。

首都ベルリンでのFridays for futureの様子(2019年撮影)

では、日本の若者の行動はなぜ見えにくいのでしょう。他国に比べて、秩序を乱すことを嫌い、正解・中立にこだわる傾向があるため、気候変動のような未来の不確定な問題への関心が低くなっていることが示されています。でも一人でやれるような小さな行動は多くの人が日常的に実践しており、SNSでの署名や寄付活動なども熱心です。正解が出るまで中立でいたいと思っている慎重な態度が、集団での行動に結びつかず、見えづらくなっているのかもしれません。

SDGsは結果だけではなく、そこに至るプロセスにできるだけ多くの人が参加できるよう、個人の行動や社会のデザインを変えていくことも目指しています。授業では、世界の多様なアプローチを学びながら、日本にあった道を見つけそれを見える化していく方法を、ディスカッションを通じて考えています。

国際交流学部国際交流学科准教授 高雄綾子

(注1)2023年度より、3つのプログラムの名称が変更になり、より充実した内容となる予定です。「人間環境」プログラムは「SDGs・ライフデザイン」プログラムに変わります。

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