01from ferris to you

“おたより”

20220601

創立記念日 第3代校長カイパーとFor Others

6月1日は、フェリス女学院の創立記念日です。今年は、1923年(大正12年)の関東大震災において天に召されたジェニー・M.カイパー校長(1872-1923)を紹介します。

カイパーは、アイオワ州ペラ(Pella)のオランダ系移民の家庭に生まれ、地元ペラのセントラル・ユニバーシティーを卒業、公立学校の教師の職を経て、開学間もないシカゴ大学に入学しました。卒業後、1905年に宣教師として来日し、フェリスの教員となります。33歳の時でした。そして、長年フェリス校長を務めたユージーン・ブースが引退することになり、その後任としてカイパーは、1922年10月、第3代校長に就任します。
ところが、校長になって約1年後の1923年(大正12年)9月1日に関東大震災が発生し、フェリスも甚大な被害を受けます。ほぼすべての校舎が倒壊・焼失し、残ったのは門扉と門柱だけでした。
カイパーは、新学期に備えて震災の前日に軽井沢から帰ってきたばかりでした。震災当日、面会を終えた卒業生を校門まで送り、校長室に戻ったところで地震に見舞われ、校舎の下敷きとなり動けなくなりました。火の手が迫るなか、救出しようとした職員の回想によると、カイパー校長は、「私は主の御心のままに心安くここに永眠します。・・・早く安全の地に逃れなさい」と述べたとのことです。
また、カイパーのいとこで宣教師として来日していたヒューバート・カイパーは、彼女の最期の言葉が、「God’s will be done」(御心が行われますように)であったと記しています。
最期まで他者を気遣うカイパーの精神が、この後に誰ともなく受け継がれていくフェリスのモットー「For Others」となっていきました。

カイパーの名は、現在もフェリス女学院中学校高等学校の「カイパー記念講堂」に残されています。来年2023年は、カイパー校長の殉死から100周年になります。「For Others」を体現したカイパー校長の精神を私たちも受け継いでいきたいと思います。

(参考:『フェリス女学院150年史 上巻』342-347頁、357-359頁。)

学長 荒井 真

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