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“おたより”

20220316

VOCALOIDの技術開発マネージャーに聞く、音楽テクノロジーとイノベーション

音楽学部では、日頃の学びをさらに深掘りするテーマで年に数回の公開講座を実施しています。今回は、先日オンラインで開催された「VOCALOIDから読み解く音楽テクノロジーとイノベーション」をご紹介します。

ヤマハで技術開発マネージメントに携わった経歴を持ち、現在は本学において「Digital Technology Marketing」の科目を担当する長谷川豊先生に今回お話を伺いました。

まずは音楽業界の現状を大まかに理解することから始まり、日本で急成長する音楽文化について触れました。その中でキーワードとして外せないのが「ボカロP」(=VOCALOIDを使って楽曲を作り、発表する人の総称)です。

「ボカロP」がなぜ登場したのか、そもそもなぜ「VOCALOID」が生まれたのかを知るには、まず音楽テクノロジーの歴史を理解する必要があります。近代に発明されたあらゆる楽器はデジタルで自在に再現できるようになりましたが、唯一残された分野が「人の声」でした。実は「VOCALOID」以前にもいくつかのコンピューターによる歌唱プログラムは開発されていましたが、広く普及することはありませんでした。

ではなぜ「VOCALOID2(初音ミク)」は爆発的な普及を遂げたのか、それには時代的背景と創作支援が大きな要因と見られていること、それは音楽の民主化を加速する役割を果たし、「ボカロP」はその牽引役となったことについてお話しいただきました。

続いてイノベーション理論から「VOCALOID」の開発について考え、これほどの破壊的イノベーションを起こすに至った経緯を辿りました。

私たちにとって非常に馴染み深く、流行の広がりを肌で感じてきた「VOCALOID」を、イノベーション理論から眺めると面白い発見が多くありました。参加者たちは、音楽テクノロジーに対する知見も深まったことと思います。

今回の公開講座は他学部生や教職員も多く参加し、こうした新しい音楽分野への関心の高さを感じることができました。

※「VOCALOID(ボーカロイド)」はヤマハ株式会社、「初音ミク」はクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の登録商標です。

音楽学部 演奏会室

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