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“おたより”

20220314

CLAコア科目 しょうけい館「次世代の語り部」による講話

CLAコア科目「市民活動の役割と意義――戦争・記憶・市民」では、2021年12月21日に、しょうけい館――戦傷病者史料館――から、語り部の小暮倫子さん、学芸員の永島武晴さんをゲストスピーカーとしてお招きしました。講話会は図書館ラーニングコモンズで行い、履修者以外の学生や教職員にも公開しました。

しょうけい館は、戦傷病者の「戦中・戦後の苦労を後世に語り継ぐ」ことを目的として2006年に設立されました。はじめに学芸員の永島さんから、しょうけい館の展示内容を紹介していただきました。しょうけい館は、証言など貴重な資料を保存し、戦傷病者の受傷の瞬間を物語る品々や、野戦病院を再現したジオラマ、帰還後の苦労を物語る義足や義眼などを展示しています。永島さんは、パラリンピックの起源が戦傷病者の治療とリハビリにあるという大変興味深いお話も披露くださいました。

戦傷病者の平均年齢が90代後半となるなか、しょうけい館では、2019年から「次世代の語り部」を育成しています。本学卒業生の小暮倫子さん(国際交流学部、2015年卒)は、仕事のかたわら3年間の研修を受け「次世代の語り部」となりました。講話では、「6人の戦傷病者とその人生」と題して、戦争で受傷した6人のそれぞれの戦前、戦中、そして戦後の体験を具体的なエピソードやご本人の言葉をふくめて丁寧に語ってくださいました。収録された映像証言をもとに、当時の社会状況に重ねながら傷病者の体験を伝えるもので、6人それぞれの人生が時間軸に重なることで立体的な物語が編まれていく様子が印象的でした。

講話後のディスカッションでは、小暮さんが語り部になろうと思った動機や、当事者ではない「次世代の語り部」がどのように証言に向き合い、それをいかに後世につたえることができるかなどの質疑応答がなされました。戦争の語り部という存在自体を初めて知った学生も、その意義を深く受け止めたと言います。また他の学生は、「世代的に自分と戦争は関係ない過去のことだと思っていましたが、今回の講演会を通して、争いからは不幸しか生まれないと、戦争について考える良い機会が出来ました」との感想を語ってくれました。

文学部英語英米文学科教授 梅﨑 透

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