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“おたより”

20220117

国際交流学部で学ぶ地域文化③ 中国と「SF」

「国際交流学部で学ぶ地域文化」第3回は中国とSFについてご紹介します。

18世紀半ば、イギリスに起こった産業革命は、人々の生活を一変し、科学技術による変化のスピードを人々に見せつけました。また、進化と種の起源に関する理論は、「社会が発展する」という意識を生み出すとともに、西洋の伝統的な認識を揺るがしました。文学では、新しい科学思想とテクノロジーによって開かれた空想的な可能性を描く科学ロマンスが生まれ、サイエンス・フィクション(SF)に発展しました。

欧米の近代科学技術や科学思想が、圧倒的な軍事力とともに東アジアにも到来した時、日本人と同様にウエスタン・インパクトに直面した中国の人々は、伝統的な知恵の裂け目にどのような夢や悪夢を見たのでしょうか? そして、脱工業化社会へ、科学技術大国へと変貌しつつある今日、どのような未来を想像しているのでしょうか? 

私が担当する「中国の近現代文学」では、中国の20世紀初頭から最近のSF作品や関連作品を紹介しています。SFはあくまでフィクション(虚構)でありファクト(事実)でありません。しかし科学技術と密接に結びついた人類社会に関するビジョンが現れます。

2015年、SF文学において最も権威があると言われるヒューゴー賞を、中国の作家がアジア人として初めて受賞し(劉慈欣『三体』)、中国のSFに対する関心が世界的にも高まっています。中国のSFを通して異文化の発想に触れ、共に生きる未来について考えてみませんか。

国際交流学部国際交流学科准教授 上原かおり

第5回中国(成都)国際SF大会参加時の筆者(科幻世界社撮影)
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