01from ferris to you
“おたより”
20210708
7月1日(木)に動画配信にてキリスト教講演会(前期)を行いました。タイトルは「『ケガレ意識』に呑まれない生き方」です。
新型コロナウイルス感染症が発生してから、約一年半が経ちますが、感染した人たちや医師・医療従事者に対する差別が頻発したことは、皆さんの記憶に新しいと思います。その背景には、わたしたちの「ケガレ意識」があります。この意識は、さまざまな差別と関わっていますが、今回は、ハンセン病患者に対する差別にスポットを当ててお話ししました。
ハンセン病を引き起こす菌は、感染力がきわめて弱く、特効薬もできて完治する病気になったにもかかわらず、ハンセン病患者に対しては、理不尽な強制隔離政策が1996年まで続けられてきました。その原因の一つには、わたしたちの「ケガレ意識」があったことを忘れてはなりません。
そして、「ケガレ意識」に起因する差別の問題は、けっして過去の問題ではなく、現在のわたしたちが直面している問題でもあります。政治的・経済的・社会的な危機が生じると、この「ケガレ意識」が顔を出し、弱い立場の人々がスケープゴート(不満や憎悪を他にそらすための身代わり)として犠牲になる事態が何度も起きてきました。わたしたちは、この「ケガレ意識」から生じる心の壁を乗り越えていかなければならないのです。
イエス・キリストの癒しの奇跡は、単なる病気の治療ではなく、あなたは神様に愛されている神の子である、安心しなさい、という宣言でもあったと思っています。
これからも危機は続くと思いますが、どうか皆さんには、「ケガレ意識」に呑まれずに、人間と人間の壁を打ち破る人生を送って欲しいと心から願っています。
学長 荒井 真