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“おたより”

20210325

新学期に向けて-英語英米文学科

桜が開花し、新年度が待ち遠しい時期となりました。2020年度は、新型コロナウィルス感染という大禍に見舞われ、授業においては、オンラインという新たな形式の下で、戸惑いと挑戦の連続でした。新学期を迎えるにあたり、この一年間の英語英米文学科の奮闘を振り返りながら新たな抱負についてお話ししたいと思います。

英語英米文学科の専門科目における特色の一つに、ゲスト・スピーカーをお招きして行われる「異文化交流」があります。本来は教室にお招きしてお話していただくはずでしたが、2020年度は、すべてZoomを通して行われました。饒平名尚子教授の「日英語の発想と表現」では、日本人のコミュニケーションの仕方を英語ネイティブスピーカーはどのようにみているのかという観点から、イギリスご出身でいらっしゃる本学のスコット・スミス助教に「生」のご意見をお伺いしました。大畑甲太教授の「Thought & Expression in English」では、アメリカ人の先生をお招きし、ご自身のアメリカと日本における異文化体験をお話いただきました。さらに、梅﨑透教授の「アメリカ研究入門1」では、やはりアメリカ人のゲスト・スピーカーをお招きして、南部ニューオリンズの公立学校とニューヨークの公立学校を対比させながら、人種やエスニシティと教育の関係についてお話していただき、英語と日本語での質疑応答も行われました。英語英米文学科では、コロナ禍に屈することなく、こうして新たな「ツール」を活用しながら、学生の皆さんが、英語圏の社会や歴史、文学、芸術、文化に触れ、言葉やコミュニケーションの仕組みを学び、文字通り、英米文化に通じる豊かな知性を育んでいけるよう工夫を重ねていきたいと思っています。

そして、2020年度の英語英米文学科において最も特筆すべきは、昨年10月に関口洋平助教をお迎えしたことです。関口先生のご専門はアメリカ研究で、歴史や文化、政治経済などいろいろな角度からアメリカについて考察されています。先生によると「アメリカ文化の中で家族がどのように描かれているのかに興味を持っており、近年は育児を担う父親がアメリカ映画や文学等の中でどう表象されているかを考えています。次年度のゼミではメロドラマという枠組みに焦点をあてながら、アメリカ映画の中で家族がどのように描かれているかを考える予定です」とのことです。英語英米文学科の魅力がまた一つ増え、一層充実したカリキュラムになりました。学生の皆さんの個性豊かな考察の展開を今後ますます楽しみにしています!

さて、学生の皆さんにとって、キャンパスで楽しく過ごす機会が得られなかったことは、最も残念なことであったことと思います。家の中で、一人で向かうパソコンのスクリーンは無機的で冷たく、孤独を感じたこともあったかもしれません。今後も予測できない新たな壁にぶつかることがあるかもしれません。でもスクリーンの背後には、いつも私たち教員がいます。学生の皆さんの適応力と素直な心に、私たち教員も大きな励ましを得て、未だ先の見えない困難を一緒に乗り越えていきたいと思います。

最後に余談となりますが、先日、現役大学生で芥川賞を受賞した宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』を読んでみました。アイドルの追っかけに燃える少女の話で、現代的な「推し」にはカルチャーショックを受けずにはいられませんでしたが、そんな主人公の熱い「心」にいつの間にか引き込まれていきました。大学生活における皆さんの熱い思いが実りますように、私たちも頑張っていきたいと思います。4月に温かい笑顔でスタートできる日を楽しみにしています。

英語英米文学科准教授 小泉 泉

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