01from ferris to you

“おたより”

20210202

ピアノの弾ける図書館

図書館の顔となったベーゼンドルファー

図書館・ラーニングコモンズには、ベーゼンドルファー(グランド)とシュベスターのプリマトン(アップライト)、ヤマハ(アップライト)と3台のピアノがあります。
履修科目や所属学科に関わらず、本学の学生は誰でも演奏することができます。
身近な存在として学生に活用されるように開放的な空間に設置しました。

■ベーゼンドルファー:紀伊國屋ホール(新宿)にあったピアノです。

図書館に設置される前、ベーゼンドルファーは紀伊國屋ホール(新宿)*で使用されていました。製造番号から1960年代の制作と推定されます。
本学では当初山手(旧5号館)で演奏会用として、その後は授業で使用。2012年に音楽学部の校舎が5号館から8号館に移転した際、アートサロンに設置、2017年に山手8号館アンサンブルルームに移設されました。

2020年3月、大学附属図書館リニューアルに伴い、ラーニングコモンズ(1階ラウンジ)に移設。鍵盤修理を終えた後、昼休みと閉館前の30分間は、ストリートピアノのように気軽に演奏できるように学生に開放しています。色彩豊かなその音色が響きわたるとき、ラーニングコモンズに生命が吹き込まれ、新たな空間が生まれたことを実感します。

2021年度前期読書運動科目「今年の一冊」では、東ドイツに留学中のピアニストを主人公とする「革命前夜」(須賀しのぶ著)を取り上げます。作品に登場する曲目を図書館で演奏し、読書と音楽を結び、体験を共有する企画も準備中です。

*「紀伊國屋ホール」とは
1964年、紀伊國屋書店新宿本店ビル竣工と同時に開場した紀伊國屋ホールには、以来、文学座、民藝、俳優座、青年座、地人会、木冬社、こまつ座など、日本演劇界を代表する劇団が次々と登場しています。また若手新進劇団にも広く舞台を開放し、つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史、三谷幸喜ほかを送り出し、「新劇の甲子園」とも呼ばれています。

製造番号は28308。製造番号28000台は概ね1960年代の制作 旧型(2本ペダル)のため、フェリスホールのステージ等で用いる現役のコンサートグランドではありません。

■プリマトン PRIMATONE 横浜・山手に縁のあるピアノです。

プリマトンは元町にあった大塚ピアノ商会がシュベスターピアノ製作所に自社ブランドとして発注生産したもの。シュベスターピアノはヤマハ、カワイに次ぐ現存三番目に古いピアノメーカーです。

ピアノカルテ より
大正10年、沢山清次郎氏と大塚錠吉氏が共同でピアノ店を出したのが始まり。その後大塚氏のみで大塚ピアノ商会を作り、横浜元町の名店の一つになりました。国産ピアノの最高級品を目指していくつかのピアノ工場にオーダーしました。シュベスターピアノの工場で製作した時期が長く、レンナーアクションを使用した高級品が多いのが特徴です。
発売元:合資会社大塚ピアノ商会、製造:シュベスターピアノ製造KK、協信社ピアノ製作所。図書館のプリマトンは型番号Mod No.45 製造番号:48592、ESTABLISHED NOV.30 1920 と刻印があります。

美しく蘇ったプリマトン
ロゴ:OTSUKA PIANO SHOKAI EST 1920 YOKOHAMA-TOKYO

図書館1階AVグループ室にあったプリマトンは、製造元シュベスターピアノの代理店有限会社エスプレシーボ様にリメイクを依頼、2020年12月、2階イベントプラットフォームで再生されました。リニューアルされて甦ったこの横浜ゆかりの歴史あるピアノの音色を、学生のみなさんにもぜひ楽しんでほしいと願っています。

*横浜のピアノ職人たち
開港のひろば』第51号 資料よもやま話
「ピアノ製造と横浜華僑」(p.6)に、大塚錠吉が「周ピアノ」で修業したことが書かれています。

*大塚ピアノ商会の所在地 合資会社大塚ピアノ商会
住所 神奈川県横浜市中区元町4丁目164番地(山手キャンパスの真下です。)なお、住所については他説もあります。

*関東大震災と横浜–芥川龍之介「ピアノ」
関東大震災後の山手、瓦礫の中に取り残されたグランドピアノが描かれています。

ESTABLISHED NOV.30 1920
SPECIALLY UILT BY SCHWESTER PIANO SEIZO KK
型番号Mod No.45 製造番号:48592
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