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“おたより”

20181219

LGBTを取り巻く環境・教育~国際交流学会秋季講演会~

国際交流学会では、2018年度秋季講演会を11月16日に開催しました。
今回は、5月に南アフリカで開催されたMR GAY WORLDに初代MR GAY JAPAN代表として出場したSHOGOさんを講師にお迎えしました。SHOGOさんは、オーストラリアへの留学・教員経験を活かし、現在は都内の学校で教員として勤務する傍ら、性教育に関する正しい知識の啓蒙を目的に様々なメディアやイベントなどに出演されています。

まず、SHOGOさんがMR GAY JAPAN代表に選ばれるまでの道のりや、当事者であるSHOGOさんが考えるLGBTQ+を取り巻く環境について、選考時のエピソードや様々な写真などもまじえてお話してくださいました。SHOGOさんがMR GAY JAPANに出場しようと思ったきっかけは、フィットネスクラブの入会規約で性別違和の差別的表現を目の当たりにし、日本でのLGBTQ+に対する考え方に疑問を持ったことでした。そこで、LGBTQ+への理解を深めてもらいたいと思い、MR GAY JAPANへの出場を決めたそうです。LGBTQ+に理解を示す第一歩は、まずは自分のセクシャリティに興味を持つことが大切であり、1つのセクシャリティに固定する必要はなく、視野を広げることであるとSHOGOさんは考えているそうです。

ご講演いただいたSHOGOさん

次に、SHOGOさんの日本とオーストラリアでの教員経験を通して、教育現場とLGBTQ+についてお話してくださいました。オーストラリアは多民族国家であることから、お互いの違いを認めるという意識が小さな頃から根付いているそうです。教育現場では教員組合の力が強く、安心して働ける環境であることから、LGBTQ+当事者が多い職業であるという印象を持ったそうです。また、性病の予防治療に対しての国の取り組みも進んでいたそうです。

現在、SHOGOさんが日本で勤務している学校はリベラルな校風であることから、MR GAY JAPANの活動にも理解があり、応援してくださっているそうです。ただし、学校によってLGBTQ+への理解に差があるのも現状で、教育現場ではセクシャリティの指針がないため、授業での扱い方がわからず、保健体育の授業任せになっているところがあるとのことでした。このような現状から、性病の危険性などをはじめとした性教育が不足していると気付いたSHOGOさんは、MR GAY JAPANの審査のうちの一つであるスピーチで、オーストラリアでの教員経験を生かし、自分の職場である教育現場から性教育を見直そうと、子どもたちに向けての病気の知識を含めた性教育の必要性を訴えました。

講演会の様子

私たちはLGBTQ+をどこか特別なものと捉えがちですが、これについて「現在の日本では多様化するセクシャリティの形に対して消極的な意見が目立ち、自分が持つ価値観を自覚したり、伝えたりすることは難しい。しかし、LGBTQ+であることをカミングアウトするということは自分の価値観を晒すことではなく、女性が女性ですと言っているのと同じこと」とSHOGOさんはおっしゃいました。無意識のうちにセクシャリティの形をLGBTQ+とそうでない人に分類してしまいがちであることも、LGBTQ+に対する理解を広めるための課題であると参加した多くの学生が考えさせられました。同時に、多様化するセクシャリティに対して、改めて自分の考えを見つめ直すことができました。自分が考える性の価値観や常識を疑い、深く掘り下げることで、セクシャリティの観点から見た自分らしさとは何か、自分らしさを多くの人が互いに尊重できる社会をどのように作るべきかを考える機会となりました。

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