03special

“よみもの”

20181206

「実験の研究計画をたてる」~心理学は実験する学問です~

文学部 コミュニケーション学科 山崎浩一 准教授

これらの写真、何をしているか分かりますか? この講義のタイトルが「実験の研究計画をたてる」なのでネタバレですが、「実験」をしています。しかも、「心理学的実験」です。「パーソナルスペースの測定」という、とても有名な実験です。

Aさんが立っているところにBさんが近づいていきます。Aさんは、これ以上Bさんに近づかれると「気まずいなあ」と思ったら、手を挙げます。すると、CさんとDさんがやってきて、AさんとBさんの間の距離を測ります。この繰り返し。BさんはAさんを中心に前後右左など八方向から近づきます。Aさんは「気まずいなあ」と感じる度に、手を挙げます。

これで何が分かるのか。あまり詳しく書いてしまうと、みなさんがこの実験を実施するときに影響が出てしまうので、さわりだけ・・・・・

わたしたちの周りには、目には見えないけれども、「これ以上近づかれたら気まずいなあ」と感じる空間(スペース)がある、ということが分かります。「そんなのなんとなく分かるよ」という声が聞こえてきそうですね。それではダメなんです。きちんと「測って(測定して)」、それが「ある」ことを証明しなければ。そのために「実験」をしているんです。さらに、どんな特徴があるのか(例えば、スマートフォンを持っているとどうなるのか)、どうしてそのスペースがあるのか、日常生活にどのように影響するのか、分かったことをどうしたら日常生活に活かすことができるのか、などについて探求していきます。

多くのみなさんのイメージを裏切ると思いますが、心理学は「実験」で発展してきた学問なんです。「心」というものがあるとしたら、それを「理」論的に探求する「学」問が、心理学です。そしてこの「理」の部分を担う大きな柱が、「実験」なのです。この写真の中で学生たちが測っているスペースは、「心」のあらわれ、といえるかもしれません。

(2018年12月6日)
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