01from ferris to you
“おたより”
20180227
2017年4月にCLAが開設されて半年が経ちました。2017年後期も多彩なCLA科目が開講されています。その一部を紹介します。
「弁論と説得」(担当:ナップ希代子)
当授業の目標は、多角的な観点から討論を重ねることを通じて、「他者視点」で物事を検討し、人を説得できる論理対話力を身につけることです。米国弁護士である教員の体験を反映し、法廷論争にみる議論など法曹界のコミュニケーションを教材の一種として活用します。体験学習に重点を置き、実際に裁判所に足を運んでの裁判傍聴を通じ、法の世界に息づく人間ドラマを目の当たりにもします。
2017年度後期の「弁論と説得」では、他校とのコラボレーションにも意欲的に取り組み、そのプロセスを通じて多くを吸収することができました。千代田区立麹町中学校、インターナショナル・カルバリー・アカデミー(神奈川県大和市)、そして東京大学法学部との連携が実現しました。
先ずは学期初めに、麹町中学校2年のクラスを訪問し、対話授業を試みました。テーマは、「14歳」。大人ではないが、子供とも言い切れない、いわば境界線上にある曖昧な年齢の少年少女に、どこまで自己決定権が認められるべきか。その課題を考える上で身近な日常例を用いながら、元気一杯の現役14歳たちと賑やかで楽しい討論の場を設けることができました。さらには、当校の「報道局」というサークルに所属するメンバーたちが、後日の授業に披露する模擬裁判のオープニングの映像を作成してくれました。吹奏楽部や陸上部の練習風景から放課後の図書館まで、青春の息吹に溢れる瑞々しい映像が完成しました。
12月には、東京大学法学部の学生さん9名の訪問を受け、東大生とフェリス生の合同授業を行う機会に恵まれました。東大の皆さんは、70年以上の歴史を誇り五月祭で模擬裁判を披露する東京大学法律相談所(法学部を中心とした学生団体)のメンバーです。宗教的少数派に属する14~15歳の子供たちをめぐる米国最高裁判例を土台としたディスカッションが授業の中心となりました。米国建国の理念など歴史的事実にも基づく説得力ある意見に耳を傾け、「東大生の議論には学ぶところが多い」と多くのフェリス生が尊敬の念を表しました。
模擬裁判を中心にディスカッションに挑んだ授業には、インターナショナル・カルバリー・アカデミー(ICA)の中高生の皆さん8名が来校しました。これまでの授業で折にふれ語り合ってきた「14歳の自己決定権」というテーマにおいて、バイリンガルの生徒さんたちが流暢な英語を駆使しつつ議論に参加してくれました。模擬裁判の内容は、未来の蘇生に望みを託し遺体冷凍保存という選択肢を選ぶ14歳の末期ガン患者と、我が子を愛するがゆえに反対を唱える母親を巻き込んだ論争で、英国における2016年の訴訟を活用したものです。ICAもまたプロテスタントの学校なので、約150年間にわたりフェリス女学院の歩みを照らし続けてきたキリスト教の観点からも、「生と死」なる深遠なテーマを共に追及することができました。