01from ferris to you

“おたより”

20180220

渡辺浪二先生の最終講義 ~伝統とは、こうやってできていく~(コミュニケーション学科)

1月26日、コミュニケーション学科ができる前から、フェリスで教鞭をとってきた渡辺浪二先生の最終講義がありました。人気者の先生ということもあり、渡辺先生とかかわりのあった元職員の方たちや卒業したゼミ生たち、現ゼミ生や渡辺先生の恩師や親友の方たちも駆けつけ、実に大勢の人たちが集いました。

さて、今回の集まりで、私が一番驚いたことは、渡辺先生にとっての第一期のゼミ生たちが、この会に駆けつけたことです。これは、渡辺先生にとってもサプライズだったようで、感激していました。みなさんは、それぞれお仕事を持っていて、平日にスケジュールを自由に調整することなど、なかなかできないはずだからです。

講義の後の懇親会では、元ゼミ生が一人ひとり渡辺ゼミを振り返っていました。卒業してから何年も経ったにもかかわらず、まるで昨日のことのように、ゼミ内であったことを、みなさんは覚えていました。その会話を現在のゼミ生も聞き入っていました。そこで共有されたのは、卒業生と現ゼミ生との間の時間を超えた渡辺ゼミという場についてでした。年齢・世代の差はあれども、みんな同じ渡辺ゼミを、卒業しても在学していても、それぞれ生きていることがよく分かりました。

大学における、伝統とはこういうものなのだと合点がいった気がします。決して、眼に見えるものではないけれど、一人ひとりが、ゼミという濃厚な時間を経験し、それが引き継がれていき、卒業後も、それぞれの人生に何らかの意味を持ち続けています。

もちろん、ゼミだけが大学の伝統を作るわけではありません。今回の集まりには、元職員の人たち、現在のコミュニケーション学科のカリキュラムを一緒になって作った人たち、非常勤の先生たちも集まりました。大学とは、こういった様々な方たちによって支えられています。会に参加したある卒業生が、「自分たちの学生生活は、多くの人たちによって支えられていたことが卒業してから分かった」と言っていました。

一人の教員が退職するというのは、ぽっかりと大きな穴が開くことを意味します。たとえ後任の先生がいらっしゃるとしても、時間を経て積み重ねた伝統は、一朝一夕にできるわけではありません。それでも、大学という場は多くの人によって支えられ、それぞれのゼミで伝統が育まれ、学生が巣立ち、卒業後も大学での学びを心の中に抱き、いつか戻ってきてくれる場所なのだと感じました。

これから大学に入るみなさんも、こんな大学の一員になってみませんか。教員と学生との距離が近いフェリスはとても暖かい場所だと思います。

コミュニケーション学科教授 藤巻光浩

scroll to top