02interview

“わたしたち”

20180205

心に寄り添えるピアニストを目指して

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私は現在、ハンガリー国立バレエ大学で伴奏ピアニストを勤めながら、演奏活動をしています。大学院修士課程修了後に渡洪し、ハンガリー国立リスト音楽院に留学して3年が経った頃、バレエ大学のコレペティトア(伴奏ピアニスト)にならないかとお声をかけていただき、幸運にも1年目から常勤ピアニストとして採用していただきました。

この大学はハンガリー国立バレエ団直属のバレエ大学で、学生たちはセメスター毎の試験結果次第で容赦なく留年にも退学にもなる厳しい世界です。ここで毎日バレリーナを目指す学生さんたちと共に、夢のある時間を共有しています。これまでバレエピアニストの経験はありませんでしたが、フェリスでバレエレッスンを見学したことやアンサンブルレッスンで学んだことが役立っていると感じています。クラスでは毎日15曲ほどを弾きます。身体の動きと音楽のフレーズのリンク、ステップとアクセントの関係など、これまでとは違った角度から音楽を捉える感覚を覚え、自身のソロ演奏にとっても非常に勉強になっています。

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自身の演奏活動としては、ハンガリー国内外の音楽祭やサロンコンサートに出演しています。先日は、日本でソロ・リサイタルを開催しました。約500名のお客様にご来場いただき、ハンガリーの作曲家であるバルトーク、コダーイの作品を取り入れたプログラムを演奏しました。初めはなかなか掴めなかったハンガリーの音楽ですが、4年間にわたってハンガリー語の語感、リズムに触れ、ハンガリー人と接し、生活するうちに、確実に私の中に染み付いた“何か”が存在します。

また、最近では個人レッスンも行っています。ある生徒は、ルクセンブルクの音楽院から休暇の度に通って来てくれています。レッスンにあたり日本の音楽教育で育ったことや言語など不安もありましたが、その生徒から音楽院の実技試験で最高評価だったと報告を受けた時はとても嬉しく、これまでの自分の学びを伝えていくことの喜びを教えてもらいました。

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フェリスでの6年間、毎週の実技レッスンはもちろん、海外の先生のレッスンや特別講座、バレエレッスン、室内楽やコンチェルトの演奏、リサイタルの開催など、様々な勉強のチャンスがありました。これら全ての学びが今の私の活動に繋がっています。今振り返ってみても、これほど贅沢な学びの環境はないと改めて思います。

フェリスでの学び・経験があったからこそ、今、自信をもって自分らしく歩めています。これらかも音に心を込めて―聴いて下さる方々の心に寄り添えるピアニストでありたいです。

(2018.2.5)
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