03special

“よみもの”

20170609

「まじめに遊ぶ」のススメ~「身体表現の技法―ダンスによる動きのテクニック(探求ゼミ)」から~

文学部 コミュニケーション学科 高橋京子 准教授

この授業では、タイトルにあるとおり身体で表現します。具体的にはダンスを創作する手法を学び、実際に自分たちで創作し、できあがったダンス作品を公開パフォーマンスで発表します。もちろん実技です。15回の授業の前半では身体をつかってたくさん遊びます。サボるのではありません、遊ぶのです。まじめに、真剣に、全力で遊びます。あるときは、全員で一つの円になって手を繋いで為されるがまま動いたり、音楽にノリノリで私の真似をしたりします。あるときは、二人組になって、相手の創る空間(例えば股の下)をくぐり抜けたり、不安定な姿勢で引っ張り合いバランスをとったり、背中合わせのまま移動し座ったり立ったり。またあるときは、新聞紙になりきって動いてみたり(最後に新聞紙を破りストレス発散もします)、二人組で目をつぶりお互いの人差し指で割りばしを持ち、それを落とさないように、相手の動きを人差し指だけで感じながら押したり引いたり。履修者は汗だくになりながら、「まじめに遊ぶ」のです。この授業で大切なことは、まじめに遊ぶことともう一つ、人とコミュニケーションをとる、という2点です。常に相手が入れ替わり、その相手とコミュニケーションをとっていきます。

「まじめに遊ぶ」こと。一見ダンスと関係ないように思えることですが、とても深い関係があります。色々な相手とコミュニケーションをとりつつ、まじめに遊んだ結果出てきた動きが繰り返され、ひと流れの動きとなればもうダンス。授業では、動きに意味づけをし、伝えたい何か(メッセージ)を考え、好きな音楽にあわせて動き、タイトル、衣装、照明をつけて作品へと仕上げていきます。

そもそも、ダンスはスポーツの一種です。英語のスポーツはラテン語のデポルターレに遡ることができ、そこには気晴らしや遊びなどの意味があります。つまりスポーツには、現在のようにメダルを競い合う競技スポーツという側面だけではなく、気晴らし、遊びも含まれるのです。したがって、「まじめに遊ぶ」は、あながちインチキではないのです。

ここまで読んでも、身体表現、ダンス…と聞くと鳥肌が立つ人もいるかもしれませんね。ダンスは特別な教育、トレーニングを受けた人にしかご縁が無いもの、とお考えのみなさん。そんなことはありません。みなさん普段から身体によるコミュニケーションをしています。誰かと話をするときに、無表情で話をする人がいるでしょうか?きっと思いを伝えるために、アイコンタクトをとり、身振り手振りを使い、時には飛んだり跳ねたりしているはずです。それこそが身体表現なのです。ダンス作品はその一歩進んだカタチと言えるでしょう。みなさんも「遊ぶ」に限らず、大学生活で何か興味を持ったことを、まじめに、トコトン追求してみてください。

(2017年6月9日)
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