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“よみもの”

20151219

歌うことを楽しむことがコミュニケーション力を高めます

音楽学部 演奏学科 土屋広次郎 教授

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声と表情と体、自分自身を最大限生かして音楽を表現するのが声楽

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「音楽家の中でも、客席のほうを見て演奏するのは声楽家だけ。指揮者は客席に背を向けていますし、演奏家は指揮者を見て演奏に集中しています。声という楽器を使い、自分自身の表情や体で音楽を表現する、それが声楽家なんです。これは、歌の技術だけでなくコミュニケーション力を高めることにもつながるんです」と話す土屋先生。私たちが誰かと話をするときは、言葉を声に出し、表情で喜怒哀楽を表現しています。それは歌も同じこと。歌を学ぶことで、見えてくることがたくさんあると言います。

「声楽で声の出し方を学んでくると、『おはようございます』ひとつを取っても、ぶっきらぼうに言うのと、美しい発声で言うのとでは、与える印象が違いますよね。これは授業でも言っていることですが、日本語で『はい』と返事をすることと、英語で『Hi!』というのとでは、発音は同じ『ハイ』ですが、声に出してみると全くその表情が違うことがわかってもらえると思います」

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スタートが遅くても大丈夫 個々に合わせたレッスン

演奏学科は、ゼミではなく個人レッスンという形で先生とのやりとりを行います。1、2年生では基礎を、学年が上がるに連れて体を大きく使った難易度の高い曲目を練習していきます。

「小さい頃からずっと声楽をやってきている人もいれば、受験のために始めた人もいるので、学生一人一人で曲目も1年で習得する曲数も変わります。ですが上手下手で比べることは絶対にしません。それは何故かと言えば、スタートラインが違っているだけだからです。長く声楽をやってきた人はあと3年しか歌わないかもしれない、逆に最近になって始めた人でもこれから30年間歌い続けるかもしれません。だからスタートは全く関係ないんです。これは僕だけではなく、フェリスの先生みんながそういう考え方。だから課題はもちろんありますが、素質やペース、環境などを考慮して目標を定めています」

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音楽を学ぶなら、個性はあったほうがいい

先生のクラスには現在15名の学生が在籍しています。それぞれの学生とは、まずコミュニケーションを取って、その日の体調などを見ながらレッスンメニューを決めると言います。

「先生は人としても、とても魅力的。理論も交えながら何がいいのか悪いのかを指導してくれます」とレッスン生。レッスンでは、ヒールを替えた生徒に対し「重心が変わるから」と、これまでと変わったバランスを再度調整したり、きめ細やかな授業を行っていました。

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「歌はその人自身が良くも悪くも出てくるので、歌を通して人柄が伝わってきます。オペラはそれを楽しむ場所でもあります。同じ役柄でも、清純なキャラクターを際立たされるのか、悪女な部分を押し出すかで、本来のキャラクターの多面性を表現できます。歌は個性を活かせる場所なのです」

受験生の皆様へ

音楽は社会とつながっている

日本国内を見てみると、合唱人口も多く、カラオケの人気は安定しています。しかしCDの売り上げが落ちていたり、音楽業界へ就職するということは難しいことのように思います。

「国内のCD売り上げは年々落ちているとはいえ、世界的に見ればナンバーワンです。カラオケがレジャー費に占める割合も上位にありますし、日本人は歌が好き。ですが音楽学部に進もうと思う人が減っているのは事実です。この理由は、たとえ音楽が好きでも『将来性がない』『仕事と現実的に結びつかない』と考える人が多いからかもしれません。 しかしそれは違います。

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音楽は様々な芸術作品に触れることで感性を磨けますし、品位が身につきます。また演奏は、独りよがりではなく、周囲とコミュニケーションを取りながら演奏しなければ、いい作品には仕上がりません。そして、ひとつの曲目に対して習得度を高める課程では、どこが問題なのか原因を探り、原因がわかればそれに対して解決しようと努力するという、問題解決力は常に必要になってきます。

このような音楽を通して身についた感性や品位、コミュニケーション力、問題解決力は社会では必須と言われるスキル。トレーニングせずとも自然に身についたものなので、社会への適応力も増していくでしょう。

特にフェリスは、総合大学の中の音楽学部なので、他学部の授業も取ることができます。だから音楽の専門知識だけでなく、例えば『音楽を学びながら英語もマスターしました』というように自分自身のアレンジ次第で様々なことを学ぶことができます。つまりフェリスで音楽を学ぶということは、無限の可能性が広がり、社会に出たときに役に立つスキルが学べるということなのです。だから音楽が好きで、もっと自分を成長させたいという方はぜひフェリスへお越しください」

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