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“よみもの”

20151219

音楽や映画など身近な芸術と同じように「詩」を楽しみ、理解する

文学部 英語英米文学科 冨樫剛 教授

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イギリスの詩から思考と感受性を育てる冨樫ゼミ

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恋愛、家族、病と死、理想と現実など、あらゆるものごとを題材として書かれてきたイギリスの詩作品をとりあげ、その内容はもちろん、独特の発想や表現方法、作者の生涯や時代背景などについて研究しているのが冨樫先生のゼミ。

「ゼミでは数多く出版されているイギリスの詩集から好きな詩・詩人を選び、調査・考察した結果を発表します。誰のどのような作品を選ぶかは、完全にゼミ生の自由。さまざまな作品をとりあげて意見を交換し、各自の理解と思考と感性を深めています」と、冨樫先生。

「英語の詩」というと、身構えてしまう人も多いかもしれません。冨樫先生は「私たちの生活のなかには音楽や映画、テレビドラマ、アニメなど身近な芸術や娯楽が多くあります。それらと同じように詩を理解し、読む者・見る者の感情や思考を刺激する『楽しい』ものとして生活の一部にしてもらえたら」と話します。

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ゼミ生同士が議論を通して芸術と社会への理解を深めていく

「たとえそれぞれの単語の意味がわかっていても、普段の生活でふれることの少ない『詩』についていけるか不安、というのが私の第一印象でした。でも、実際に読んでみると、詩にもさまざまなジャンルや内容があり、とても面白いことに気づきました。毎回ゼミではお互いの意見を発表しあい、人それぞれの考えを知り、自分とは異なる角度から詩や社会を見つめることで、さらに理解を深めていくことができます」とゼミ生。

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「今の社会の中にはあふれんばかりの刺激がありますが、今から5年、10年、20年……と時を経たときに刺激や楽しみとなるのは、詩で扱われるようなシリアスなテーマであったり、深みのある表現であるはずです。そのような思考や感受性の種を若い心という土壌に植えることができれば、と考えています」(冨樫先生)

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和やかで楽しい雰囲気のなかで心の充実を図る

「ゼミ生みんなが、積極的に参加し、自分の考えをしっかり発していくことのできる、とてもよい環境で授業がおこなわれていると感じています。授業外学習として展覧会に行くことも多く、最近ではラファエル前派展に行きました。その後にはおいしいイタリアン・レストランに行ったり」と、冨樫ゼミの魅力をゼミ生は話します。

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学位授与式では、ゼミ生全員集まっての記念撮影

「冨樫先生はとても優しく、よく質問にも行きますが、学生が理解しやすいように解説してくれます。ティーチング・アシスタントの方も、より高度な意見や疑問点を言ってくださるのでとても参考になります。いい緊張感とたまに笑いも起こる、和やかで楽しい雰囲気のゼミです」と、その雰囲気を話してくれました。

「人文系の研究・教育活動の目的は、ひとりひとりの心の充実を図ること、そして社会的に質の高い文化を育てること。イギリスの詩を学び、楽しみつつ、新しい視点や思考を多く発見し、精神的に成長してもらえればと思っています」と、冨樫先生。

 

受験生の皆様へ

身近で普遍的なテーマについて、日常的な感性・発想で考える

「ゼミの時間は、学生が主体的におこなう研究発表と議論・考察が中心です。『詩』というと難しく聞こえますが、実際に扱われているのは、意外に誰にとっても身近な話題だったりします。詩人や詩の読者がみな哲学的な思考の持ち主、ということなどないですし」と、冨樫先生は語ります。

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「昨年の4年生の卒業論文のテーマは、17世紀から19世紀へ、という恋愛詩の変遷や、ジョン・キーツという詩人の作品における生と死、などでした。卒論への準備として、3年生の時から年に2回4,000字の小論文を作成してもらっています。もちろん、長い文章を書くことは、特に最初は難しいわけですが、そういう抵抗をなくすようていねいに指導しています。好きなテーマや作品について調べたこと、自由に考えたことを表現することは、知的な楽しみであるはずなんです」

「実際、率直な思考を書いたり、語ったりしてもらったら、今どきの学生はすごいですよ。本当に毎回ぼくのほうが社会について、人間について、それから詩について、学んでいたりします。対話を通じて個も集団も精神的に成長し、成熟する――教育の本来の目標って、こういうことだと思うんです」

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